【超短編小説】東京か...あの街は僕には忙しすぎるよ。〈後編〉

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2020年5月1日 

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東京での暮らしは、観光の時に感じていたものとは全く異なっていた。

観光の時は、東京ディズニーランド(千葉だけど...)やスカイツリーを見て回ったり、築地で寿司を食べたり、原宿や渋谷で最新のトレンドに触れてみたり、国会議事堂で国会議員を生で見て、キャッキャしてた。泊まるときにはホテルや最新ゲストハウスに泊まったりしたものだ。

 

そんなちょっとした下町感と流行の最先端、そしてこの国を実質的に動かしてる都市の様子などもろもろが入り混じったカオスな状態が面白かったんだと思う。

 

でも、いざ暮らしてみると、色々と思うところはある。

この一ヶ月だけでもめちゃくちゃある。

 

道は狭いし、人は多いし、民家と民家の距離も近い。

 

街を歩けば両サイドにアパートやマンションがひしめくように乱立していて、どこかから監視をされているような感覚にさえ陥ることもある。

 

あーこれがストレス社会の中心か。と思ってしまった。

 

それに時間のプライオリティもこの街では他と比べて高いような気がする。

 

電車は3〜5分に1本の間隔でくる。これに関しては別に慣れ親しんだ故郷でもそんなに変わらないから違和感はあまりない。でもやっぱり圧倒的に利用人数は桁違いに多いし、住宅街も多い。公園を探すのも一苦労なくらいに住宅しかない。

 

さすが1000万人都市だなあって感じ。

先月行ってたマニラも確か1000万人都市だけど、それとは訳が違う。

日本の方がよっぽど一人一人のプライベート空間が確保されてる。でも逆に言えばこれだけの人が住んでいても人と人とのつながりはマニラと比べると少ないと思う。仕事が終わればみんな壁に囲まれた家に帰り、そこから外に出ることはほとんどないからだ。

 

ここから読み取れることは、日本人はプライベート空間を重視するし、外部との関わりを遮断しようとする国民性なのかなと思う。

 

話を電車やバスの時間の話に戻すけど、そんな風に時間に世界一正確に社会が動くこの街のシステムによって、この街の人々は効率よく動かされているんだと感じた。

 

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つまりこの街にいると当然のように時間に縛られる生活になる。

 

「何時何分に電車が出発だから何時までに準備しなきゃな」みたいな。

 

海外には、「満員になるまで出発しないバス」なんてものがザラにあるけど、それはバスの運転手からしたら、そっちの方が乗客が多く乗ることになるから、儲かるってことだ。

 

でもこの街のシステムではそうはいかない。「満員になるまで」なんて悠長なことを言っていると、先に乗っている人の時間を浪費することになる。

 

大衆的には時間通りに動いてくれた方がいいに決まってるし、その方が社会的にも効率がいい。

 

つまり、何が言いたいかって言うと、経済を成長させるには人々をある程度時間で区切って行動させた方が効率がいいんだろうなってこの街に住んでみて思った。

 

他の例も一応出しておくと、信号とかも多い。

信号で行動が抑制され、制限される。

でも、それは社会システムにおいて、これだけ多くの人を統制するための必要不可欠のシステムってことだ。

 

そんなシステムの中にいる自分を俯瞰してみると、確かに「この街は忙しい」って感じる。 

 

でも年下にもかかわらず、そして東京での生活に憧れを抱くものも少なくない中で、彼自身が「あの街は僕には忙しすぎる」と判断できていたことに尊敬の念を少なからず抱いていたのだった...

 

それにしても東京、電動チャリ乗ってるやつ多すぎ!!楽すんなや!!