本日のお日柄は悪く。

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2019年8月20日

日本ー北海道上川町大雪山国立公園

 

おととい、こっちに来てから初めて黒岳の頂上まで登った。

 

毎朝5時ごろに黒岳ロープウェイのTwitterのアカウントにはその日一番の5合目からの様子がつぶやかれている。

 

毎朝わけもなく、なんとなーくそのTwitterのアカウントをみて、黒岳の様子を把握するのがここ最近の習慣になっていた。

 

 

その日は奇しくも「濃霧」の文字が。

 

今までに「濃霧」なんていうアナウンスは一度も見たことがなかった。(少なくとも俺がここにきてから)

それでもせっかく休みが被り、今日を逃すともう黒岳を登ることはないだろうな、なんて思ったら登ることしかもう頭の中になかった。

 

 

 

朝9時ごろから準備を始め、20分間隔で運行しているロープウェイの朝10時の便に乗車する。

 

ほどなくして、黒岳の5合目に到着し、そこからさらに7合目までリフトに乗る。

 

頂上を目指すのに7合目まではなんの苦労もなしに行けてしまうんだから、本当人間は怠惰だ。

 

 

そんなこんなで7合目に到着し、そこからは自分たちの足で頂上を目指す。

 

 

 

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歩き始めても視界が晴れる様子はありそうにない...

 

「後悔」の2文字を頭の中で右往左往する...

 

それでもなお、登り続け、8合目、9合目と目印の立っているところで休憩をとりながら徐々に高度を上げていく。

 

道は思っているよりも狭く、すれ違う人がいればどちらかが立ち止まって道を譲らなければならない。

 

視界一面の濃霧、その上、辺り一面は草が生い茂り、ひたすら続く上りの階段に嫌気が指してきた。

 

それでもすれ違う人たちに「こんにちは」とか「ありがとうございます」なんていうごく普通の会話が自然と生まれる。

 

辛いとか思ってる自分が恥ずかしくなってきた。

 

そうだ、俺たちはこの山に遊ばせてもらっているんだ。

 

そう、思うようにした。

辛いとかっていう感情は勝手に自分が抱いている感情であってこの大自然の中ではそんなことはどうでもよかった。

 

そんなこんなでぶつぶつと文句を垂れながら登っていく。

 

 

「こっから10分くらいでもう頂上だよ」

 

 

なんて声をかけてくれたおっちゃんを心の中で俺は、

 

 

「おっちゃん、先にネタバラシしないでくれよ...」

 

 

ってせっかく声をかけてくれたにも関わらず、最低なことを思いながらも、数分登って、ふと振り返ると...

 

 

 

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そこには雲海が広がっていた。

 

 

 

もうね、泣いた。

 

うそ、ごめん。泣いてはない。むしろ目がカッと見開いた。カッと。

 

だってこんな雲海が見れるなんて聞いてないし。

 

Twitterのつぶやきにはハッキリと「濃霧」って書いてあったし。

 

そんな中でこんなとんでもない雲海が見れるなんてせこいよ...

なんていうちょっとエモい感情はそっと心の奥にしまっておいて、二人ではしゃいだ。

 

 

 

その後、無事に頂上に到着し、この素晴らしい雲海を見ながら朝握った梅干しおにぎりを頬張る。

 

自分の足で山を登り、自分の手でおにぎりを握り、フィルターを通さずに自分の肉眼で大自然の景色を見る。

 

これ以上の幸せがあるだろうか。

 

そこに流れる新鮮な空気を全身で浴びながら、五感で黒岳を、そして北海道最大の大雪山を感じる。

 

 

 

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僕らを覆っていた雲は、今、僕らの眼下に広がっている。

 

雲は絶えずうごめいていて、形作ることはない。

 

雲を見てるはずなんだけど、なんだかどこを見ているかわからない。

そんな感覚。

 

それに太陽様の反射もあって直視できない。

 

ここ大雪山国立公園は神々の庭、「カムイミンタラ」なんていう別名があるけど、この雲海も神々の庭の一つなんだろうな。

 

 

 

ほどなくして、頂上から先に黒岳石室という山小屋がある。

 

 

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バイオトイレっていう仕組みはよく理解できていないけど、環境に良さそうなトイレがあった。

 

 

そしてその石室から15分ほど、進んだところに桂月岳という山があったからそこだけ登ることにした。

 

一旦黒岳を登ってから先は比較的なだらかな道が続いていた。

 

高山植物を観察しながら、そしてそこに漂う匂いを感じながら桂月岳の頂上へと到着。

 

 

 

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相変わらずの雲海。

 

2個握ってきたおにぎりの最後の一つを頬張り、大きな岩の上でまた雲海を眺めた。

 

山肌が雲によって見え隠れしている。

 

自分の右からも左からも雲が巻き上がっていた。

 

科学的な理由は知らんけど、朝は高度の低いところに、昼にかけて高度を上げていく雲。

 

今は自分たちのすぐ目の前に広がっていた。

 

ありふれた表現だが、このどこまでも続くとてつもなく大きなベッドに見えた。

 

 

 

そんなこんなでまた1時間くらいかけて層雲峡へと戻った俺たちだった。

 

層雲峡に戻り、空を見上げてみると、そこには空一面曇り空が広がっていた。

 

「俺らはあの雲の上にいたんだ。」

 

そう思ったら、なんかすごくエモかった。